■自身の免疫系を「訓練」

 研究チームは今回、「がんの場合、患者の腫瘍は一人一人異なっているという認識を以前から持っていた」「最近の技術の進歩により、特定の患者の腫瘍を標的とするのに適した治療法を作り出すことが今や可能になりつつある」との声明を発表した。

 NeoVax治療薬には、患者の腫瘍に由来する新抗原が最大20種類含まれる。研究チームは、がんに特異的な遺伝子変異を同定して、関連する新抗原を特定するために、各患者から採取したがん細胞と正常細胞のDNAを解析した。

 そして、がん細胞への攻撃を誘発させることを目的として、これらの分子を認識するよう患者自身の免疫系は「訓練」された。

 ネイチャー誌には、パーソナライズ・ワクチンを用いた別の臨床試験でも、ワクチンの安全性と免疫反応の誘発が同様に確認されたとする2件目の論文も掲載された。この臨床試験では、メラノーマ患者13人が対象となったという。

 オランダ・ライデン大学医学センター(Leiden University Medical Centre)のコルネリス・メリエフ(Cornelis Melief)氏は、解説記事に「今回の2件の研究は、この種のアプローチの可能性を裏づけている」と記しており、「これらのワクチンの有効性を立証するため」に、より大規模な被験者グループを対象とする次段階の臨床試験の実施が求められるとした。(c)AFP/Mariëtte Le Roux