【7月5日 AFP】カナダ政府は、15歳の時にアフガニスタンで米軍に身柄を拘束された後にキューバのグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地収容所に送られ、米兵を殺害した罪を認めたカナダ国籍の元受刑者に対し、謝罪と賠償金の支払いを行うことを決めた。カナダのメディアが4日、報じた。

 地元紙グローブ・アンド・メール(The Globe and Mail)とトロントスター(Toronto Star)が匿名の情報筋の話として伝えたところによると、オマール・カードル(Omar Khadr)元受刑者が収容時に受けた処置に対する賠償金として、少なくとも1000万カナダドル(約8億7000万円)をカナダ政府から受け取る予定だという。

 カナダ国籍のカードル元受刑者は2002年、アフガニスタンの戦闘で米軍に身柄を拘束されグアンタナモ収容所へ送られた際、最年少の収容者として注目を集めた。

 カナダの最高裁は2010年、カードル受刑者がカナダ当局に宛てた申し立てを同国政府が米国と共有したことで、元受刑者の人権を侵害したとの判断を示した。

 グアンタナモ収容所にいた2010年、カードル元受刑者は手投げ弾による米兵の殺害、殺人未遂、スパイ行為、テロへの物的支援など罪で、禁錮8年を言い渡された。しかし2012年、残りの刑期をカナダでつとめることが認められ、本国に送還された。さらに2015年、カナダの最高裁は元受刑者の条件付きで釈放を認めた。(c)AFP