【7月5日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2017)は4日、男子シングルス1回戦が行われ、セルビアのヤンコ・ティプサレビッチ(Janko Tipsarevic)は試合時間わずか15分で途中棄権。試合後には、賞金を手に途中棄権する選手への批判的見解に反対する考えを示した。

 ジャリッド・ドナルドソン(Jared Donaldson、米国)と対戦した33歳のティプサレビッチはこの日、第1セット0-5となった時点で脚のけがを理由にリタイア。直後にはエイゴン選手権(AEGON Championships 2017)覇者のフェリシアーノ・ロペス(Feliciano Lopez、スペイン)もアドリアン・マナリノ(Adrian Mannarino、フランス)に7-5、1-6、1-6、3-4とリードされたところで試合続行を断念。男子シングルス1回戦で途中棄権した選手の数は計7人となった。

 同日には、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)とノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も、アレクサンドル・ドルゴポロフ(Alexandr Dolgopolov、ウクライナ)とマーティン・クリザン(Martin Klizan、スロバキア)がそれぞれ途中棄権したことで、2回戦へ駒を進めている。

 ティプサレビッチは、今週初めの練習後から強烈な痛みをハムストリングに抱えており、コートに上がれないほど深刻なけがをしているとの自覚はあったというが、大会側のドクターからは異常は見られないと伝えられたという。

 ティプサレビッチは試合後、「自分の中では右ハムストリングを断裂したと110パーセント確信していたし、ほとんど歩くこともできなかった。でも医師には異常は見当たらないと言われたんだ」とコメント。さらに腰には麻酔も受けていたとした上で「もう一度医師のところに行って診察を頼んだが、正常とのことだった。もし断裂していると言われていれば、コートに上がることはなかった」と続けた。

「賞金を受け取るだけに私がやったとすれば、それはフェアじゃない」

 その一方でティプサレビッチは、下部ツアーでかろうじて生計を立てている選手たちは批判されるべきではないと主張。さらに、賞金の獲得は保証されながらも、大会からの棄権が可能となる男子プロテニス協会(ATP)のルールをグランドスラムでも適用すべきだと話した。

「多くの選手が四大大会(グランドスラム)の本選入りを果たすためにチャレンジャー大会で戦っている。彼らだってコーチやチームに金を払わなくてはいけないんだ」

「3万5000ポンド(約511万円)を勝ち取るチャンスをつかんだ彼らを批判する権利は誰にもないと思う。彼らはチャレンジャーでたった300ユーロ(約4万円)しか稼げていなかったりするのだから」

「ATPのルールが導入されるべきだと思う。互いにとって利益になる」

 今年のウィンブルドンでは1回戦敗退でも3万5000ポンドの賞金を獲得することができる。(c)AFP