【6月21日 AFP】欧州宇宙機関(ESA)の宇宙機運用部門責任者は20日、自国内で隠し持っている宇宙ごみ(スペースデブリ)の位置情報を公開するべきだと世界各国に呼びかけた。数十万個に及ぶ宇宙ごみの「作動中の時限爆弾」が、地球軌道上の衛星や宇宙船を脅かしているという。

 ESAの運用部門を統括するロルフ・デンシング(Rolf Densing)氏は「パリ国際航空ショー(International Paris Air Show)」でAFPの取材に応じ、米国や欧州各国でも、戦略上または軍事上の機密が暴露されるという懸念などから、こうした情報の隠匿が行われていると語った。

 デンシング氏によると「現時点では、1センチ以上の大きさの宇宙ごみが軌道内に約75万個存在している」という。その多くは廃棄された人工衛星やロケット本体の爆発によって生じたものだ。この数は2030年までに約120万個に達する可能性がある。

 また「さまざまな大型の制御不能な宇宙機」もあり、宇宙空間に放置された無反応の人工衛星数千個がこれに含まれる。

 このような宇宙ごみと、有人の国際宇宙ステーション(ISS)を含む運用中の宇宙機約1500台が軌道内に混在することで、危機的な状況が生み出されている。

 地上管制チームの制御が及ばない大型の、非協調的な物体が最も危険性が高いとデンシング氏は指摘し、「これらが互いに衝突したり、他の宇宙ごみと衝突したりして、さらに細かく砕けると、これがアバランシェ(雪崩)効果を引き起こすと想像できる」と説明した。

 にもかかわらず、宇宙ごみに関する情報も同様に「散在した状態」にあり、各国の宇宙機関が保有する宇宙ごみ情報は、自国の宇宙資産が衝突の脅威に直面して初めて提供される場合が多いと、デンシング氏は述べた。