【6月14日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系武装勢力と国軍との間で戦闘が続くフィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島のマラウィ(Marawi)で、武装勢力の戦闘員らが市民を奴隷として動員し、逃げようとした人たちを殺害していることが分かった。当局が13日明らかにした。

 国軍と武装勢力の戦闘は3週間に及んでいるが、フィリピン政府によると、武装勢力の支配下にあるマラウィの一部地域には、いまだに最大1000人の市民が取り残されている。

 フィリピン軍は米軍の支援を受け、武装勢力の戦闘員らが身を潜めている住宅地に容赦なく爆撃を加えている。当局によると、マラウィ市内では400人の戦闘員が抵抗を続けているもよう。

 現地のフィリピン軍報道官は記者団に対し「われわれが救出した住民の証言から、彼らが(戦闘員の)食事の用意や武器弾薬の運搬を手伝わされていたことが分かった」と述べた。

 政府によると、これまでの戦闘で少なくとも市民26人、兵士や警察官58人、武装勢力の戦闘員202人が死亡している。

 エルネスト・アベリャ(Ernesto Abella)大統領報道官は首都マニラ(Manila)で記者団に対し、逃げようとして隠れていた市民5人が12日、戦闘員に見つかり殺害されたことを明らかにした。市民らが逃げようと川に向かっていたところ、追跡してきた戦闘員に銃を乱射されて5人が死亡、残る8人が人質にされたという。

 米テロ組織監視団体SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)によると、ISは12日、傘下の通信社アマック(Amaq)を通じて動画を公開。戦闘員らがマラウィでキリスト教徒6人を銃で殺害する様子が映っており、画面に映っていないところで、さらなる殺害が行われたことを示唆するような音声が聞こえたという。

 ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は、今回の武装勢力による一連の襲撃について、ISが人口約2000万人の同国南部ミンダナオ島に拠点を作ろうとしている企ての一環だと指摘している。(c)AFP/Noel CELIS