【6月12日 AFP】今から約1億1500万年前、地球上にまだ恐竜が生息していた時代のキノコの化石が、このほどブラジルで見つかった。キノコの化石が見つかるのは極めて珍しいという。

 化石は5センチほどの大きさで、形は現在のものに似ている。見つかった場所はブラジルだが、ここは過去に存在していたとされる超大陸「ゴンドワナ(Gondwana)」の一部と考えられるという。ゴンドワナはその後の地殻変動で分裂し、南米、アフリカ、南極、インド、オーストラリアを形成したとされる。

 米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に先週掲載された論文で、共同執筆者を務めた米イリノイ大学(University of Illinois)アーバナ・シャンペーン(Urbana-Champaign)校の古生物学者サム・ヘッズ(Sam Heads)氏は、キノコの化石を電子顕微鏡で調べたところ、笠の下にひだや胞子があるのを確認。種の同定の一助となったことを明らかにしている。

 研究チームは化石の発見場所にちなみ、キノコを「Gondwanagaricites magnificus」と命名した。

 キノコはおそらく洪水によって川に流された後、潟に運ばれ、その上に堆積物が積もって化石化したとみられるという。同じ場所で昆虫や植物の化石が発見されていることも、この仮説を裏付けている。

 ヘッズ氏は、潟の水には塩分や少量の酸素が含まれていたことが考えられるとしながら、これらの成分がキノコ保存の一助になったと述べ、またキノコの繊維は柔らかくてもろいため腐敗が進みやすく、化石化はなかなか難しいことも指摘した。

 これまでにも、数億年前のものとみられるキノコの繊維の化石は見つかっている。しかし、全体的に形を保ったままの化石は10点しか発見されておらず、最も古いものでも9900万年前のものだ。これまでのものはすべて、琥珀に包まれた状態で発見されているという。(c)AFP