■生命の元だが有毒

 最近では、「グリコールアルデヒド」と呼ばれる化合物を含む糖類が宇宙空間で検出された。グリコールアルデヒドは、DNA構造の形成に関与する化合物の一つだ。

 太陽系内の地球や他の惑星は約45億年前、太陽形成時に使い残された物質から形成された。

 3重連星系「IRAS 16293-2422」について書かれた今回の研究論文によると、このような進化のごく初期段階では、その形成に使われる物質がそれぞれの星の周囲を円盤状に回転しているのだという。

 このガスと塵は、一部が星に落下し、残りが惑星を形成する。

 逆説的ではあるが、イソシアン酸メチルなどの生命の前駆物質は、人や他の動物に対しては非常に毒性が高く、生命に危険を及ぼす恐れがある。

 リグテリンク氏は、電子メールで「これが実験室での作業を難しくしている」ことを指摘した。

 実際に、1984年12月2日にインド・ボパール(Bhopal)で発生した大規模災害では、夜間に殺虫剤生産工場から漏出した有毒のイソシアン酸メチルが原因で3700人以上が死亡した。

 だが、水などの他の分子と結合すると、イソシアン酸メチルは性質が変化し、最終的に生命の素材となる化合物をもたらす可能性がある。

 今回発表された論文の一つには、ボパールの犠牲者への追悼文が記載された。(c)AFP/Marlowe HOOD