【6月8日 AFP】中国にとって自国の政治路線に従うことを拒否する国々を罰するときによく用いてきた方法は、マンゴーや石炭、サケといった品目に輸入禁止を科すことだった。だが最近では他国に利益をもたらす中国のある「輸出」を減らすことで、打撃を与えることができることも示している。韓国や台湾へ押し寄せている中国人観光客だ。

 米軍による最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の朝鮮半島配備をめぐって、中国が最近、韓国製品をボイコットしたことは、経済力を誇示した攻撃性を強める中国の姿勢を示していると専門筋はみる。

 中国政府は韓国への団体旅行を禁止し、韓国の観光市場と小売り大手ロッテ(Lotte)グループの免税店に打撃を与えている。ロッテが標的とされているのは、問題の迎撃システムに土地を提供したからだ。

 中国はTHAADを自国の軍事力に対する脅威とみて、韓国政府に対し配備を中止するよう圧力を強めた。一方で、中国国内にあるロッテの店舗数十軒は閉鎖され、全国的な抗議行動が展開された。

 さらにロッテは中国関連の事業でも被害を被っている。総額26億ドル(約2900億円)のテーマパーク・プロジェクトを中止するよう中国政府から命じられたり、自社のウェブサイトにあからさまなサイバー攻撃を受けたりしている。

「中国の政治指導者らの求めに応じなければ、彼らは経済的な罰を加えてくる」と語るのは、上海(Shanghai)に拠点を置くチャイナ・マーケット・リサーチ・グループ(China Market Research Group)の創業者ショーン・レイン(Shaun Rein)氏だ。「彼らは世界中の政治家を経済的に締め付ける。もう何年もやっている方法で効果がある」