【6月2日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は1日、ホワイトハウス(White House)で声明を発表し、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」から離脱する方針を表明した。気候変動対策に加え、米国と国際社会との関係に広範な影響を与える政策転換だ。

 トランプ大統領は「本日をもって、米国は、拘束力のないパリ協定と、この合意によってわが国に課される財政・経済上の過酷な負担の履行を、全面的に中止する」と言明。新たな気候変動協定の制定に向けた再交渉を行うと述べた。

 同大統領は「われわれは離脱するが、交渉を開始し、公平な取り決めをつくることができるかを確かめる。それができるなら、素晴らしいことだ。できないなら、それでも構わない」と述べた。

 新たな取り決めの詳細や交渉時期は明らかにしなかったが、大統領は、パリ協定は米国民に不利な取り決めであり、米国の労働者を最優先するという選挙運動での公約を守っているのだと主張。「環境保護分野で世界を率いる米国を罰し、主要排出国に対し有意な義務を与えないような取り決めを支持することは、私の良心が許さない」と述べ、取り組みが不十分な排出国として中国とインドを名指しした。

 米国の温室効果ガス排出量は、中国に次いで世界2位。米国によるパリ協定離脱の決定は、温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化を抑制するための取り組みに対する大きな足かせになりかねない。

 離脱反対派からは、環境のみならず、国際社会における米国への評価や、米国の指導的役割が犠牲になるとの懸念の声が上がっており、トランプ氏の長女で大統領補佐官のイヴァンカ(Ivanka Trump)氏も離脱に反対していたと言われる。

 パリ協定に参加していない国は、同協定の内容では不十分と主張するニカラグアと、激しい内戦に苦しむシリアのみ。(c)AFP