【5月3日 AFP】オンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」に対抗しうる「文化の万里の長城」を構築すべく、中国で独自のネット向け百科事典の制作が計画されている。外国の影響を受けて間違いを植えつけられると政府が懸念するインターネット利用者らに情報源として活用してもらうことが狙い。

 今回のプロジェクトの編集代表を務める楊牧之(Yang Muzhi)氏は先月、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)のウェブサイトに掲載された声明で、国民の思想を導くことができる独自の百科事典を制作する必要性に迫られていると主張していた。

 また楊氏は昨年執筆した論文で、中国で閲覧できるウィキペディア、および英国の「ブリタニカ百科事典(Encyclopaedia Britannica)」を潜在的なライバルとして挙げ、こうした百科事典を超えることがプロジェクトの目標だと述べていた。

 国営の中国出版集団(China Publishing Group)の指導の下で進められるこのプロジェクトについて、楊氏は「中国の特徴を備えたものにしなければならない」とし、百科事典は「中国の文化的、技術的な発展のシンボル」になり、ソフトパワーや国際的な影響力の強化につながるとしている。

 ウィキペディアや中国ネット検索大手の百度(Baidu)が公開しているオンライン百科事典「百度百科(Baidu Baike)」はボランティアが執筆し、常に編集されるが、新しいオンライン百科事典は専門家のみが執筆に当たるという。

 既にプロジェクトでは2万人以上の学者や研究者が編集に関わり、2018年の公開時までには30万人以上まで増やす計画。

 1993年に出版された書籍版を基に制作される今回のオンライン百科事典は、インターネット上での公開後、書籍としても出版される予定。(c)AFP