【4月21日 AFP】(更新、写真追加)大統領選挙を3日後に控えたフランスの首都パリ(Paris)中心部のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで20日夜、銃撃があり、警察官1人が死亡、2人が負傷した。警察が明らかにした。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が傘下の通信社を通じて犯行声明を出した。実行犯は39歳のフランス人の男と特定された。

 仏内務省によると、事件は午後9時(日本時間21日午前4時)ごろに発生。銃撃犯は警察に向かって発砲した後、殺害された。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた警察筋は「銃撃犯は車で現場を訪れ、車外に出た。警察車両に向かって自動小銃を発砲し、警察官の1人を殺害、さらに走りながら他の警察官らを襲撃しようとした」と明かした。

 普段は観光客と地元住民でにぎわう有名なショッピング街のシャンゼリゼは武装警察によって封鎖され、周辺の地下鉄駅も閉鎖された。現場には、数十台の緊急車両が急行した。

 目撃者らは、人々が身を隠す場所を求めてパニックに陥った事件発生当時の状況を語っている。現場近くのレストラン経営者は「多数の銃声」を聞き、「客を地下にかくまわなければならなかった」とAFPに話した。

 仏検察の対テロ部門が捜査の開始を発表。フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は、事件は「テロの性質」を帯びたものである疑いがあると述べ、23日に行われる大統領選第1回投票に先立つ向こう2日間に「厳戒態勢」を敷くと約束。さらに、死亡した警官に対する弔意を表するとともに、負傷した2人に見舞いの言葉をかけた。

 今回の大統領選挙は以前から、イスラム過激派の標的になる恐れが指摘されてきた。警察筋によると、銃撃犯の男は事件前、警察殺害を企図している可能性があるとしてテロ捜査の対象となっていた。警察は事件後、パリ郊外にある銃撃犯の自宅を捜索した。

 ISは傘下の通信社アマック(Amaq)を通じた声明で「パリ中心部シャンゼリゼでの攻撃の実行犯は、ベルギー人のアブ・ユセフ(Abu Yussef)で、IS戦闘員の一人だ」と主張している。

 同国南部マルセイユ(Marseille)では2日前の18日、選挙妨害を狙った襲撃を計画していた疑いで男2人が逮捕され、武器と爆発物が押収されたばかりだった。

 一方、訪米中のイタリア首相と共同会見を開いていたドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は事件を受け「またテロ攻撃が起きたようだ。何と言っていいやら? とにかくきりがない」と述べた。(c)AFP