【5月1日 AFP】年齢が半分以上も異なるヒッティングパートナーを相手に、顔をゆがめながら強烈なフォアハンドをたたき込む伊達公子(Kimiko Date)――そこに、スポーツ映画で描かれるような陳腐な復活劇はなかった。

 輝かしいキャリアに終止符を打ちかねない故障を乗り越え、復帰への準備を進める46歳の大ベテランは、まだ選手として燃え尽きていないと主張する。ピークを迎えた1996年に競技から退いた後、12年間にわたってツアーから姿を消した伊達にとって、今すぐ引退する考えは頭にないのだ。

 3時間に及ぶ激しい練習を終え、AFPの取材に応じた伊達は「みんなには、けがをしたら引退すると思われていた」と告白。昨年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2016)女子シングルス予選1回戦以降、2度の手術を経験した伊達は「けがをしたからこそ辞めたくなかった。けがや手術をしたということに対してもチャレンジしたかった」と語った。

「根性なのかな。チャレンジすることは好きだし、やれるところまでやってみたい」

 周囲の選手が劇的に進化したパワーとスピードを駆使する中、筋肉質ながらも身長163センチと小柄な体で見せる伊達のプレーは、ロブやフラットなどが全盛を極めた時代のテニスをほうふつさせる。

 岐阜県で今月2日に開幕するカンガルーカップ国際女子オープン(Kangaroo Cup International Ladies Open Tennis 2017)でツアー復帰を果たす伊達は「90年代が最初のキャリアで、カムバックしてからがセカンドキャリア」とすると、「今回が3回目。1年のブランクもあるし、簡単ではないと思う」と自身の未来について正直な意見を口にした。

「自分にプレッシャーはかけていない。記録を破ることについては考えていないし、再びツアーレベルで通用するテニスを目標にしている」