【3月28日 AFP】現在最も手軽に食べられるおやつ、果物のおかげで、人間は大きくて強力な脳を発達させることができた可能性が高いとの研究論文が27日、発表された。

 果物を食べることが、植物の葉などの最も基本的な食料からの重要な進歩となり、より大型の脳を成長させるのに必要なエネルギーを提供したと、研究チームは主張している。

 論文の責任著者で、米ニューヨーク大学(New York University)の研究者のアレックス・デカーシエン(Alex Decasien)氏は、「このようにして人間は、これほど非常に巨大な脳を手に入れ」、「食物の質を大幅に拡大して今の食事につながっている」と語った。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に発表された今回の研究では、霊長類140種以上の主食を調査するとともに、霊長類の食べ物が最近の進化の間にそれほど大きく変化していないと仮定した。

 研究によると、果物を食べる霊長類は、葉を主食とする霊長類よりも約25%大きな脳を持っているという。

 より大型の脳は、複雑な社会集団の中で生存、繁殖する必要に迫られて発達したとする説が、1990年代半ばから主流となっているが、今回の結果はこの説に疑問を投げかけている。

 集団の中で生き抜くという難題は、知能を高める一助となった可能性はあるが、霊長類の社会生活の複雑さと脳の大脳皮質(灰白質)の大きさとの間には何の関連性も認められないと、デカーシエン氏は指摘した。

 脳の大きさと強く相関していたのは、果物を食べることだった。

 果物などの食物は、葉などの栄養源よりも豊富なエネルギーを含んでいるため、より大きな脳を発達させるのに必要な余剰エネルギーを生み出す。

 同時に、果物が実る植物の種類やその木が生えている場所、果実をこじ開ける方法などを記憶することが、霊長類が大型の脳を成長させる助けになった可能性がある。

 また、脳が大型なほど、脳の機能を保つのにより多量のエネルギーを必要とする。

「人間の脳は体重の2%なのに、全エネルギーの25%を消費しているというのは、周知の事実だ」と、デカーシエン氏は述べた。「脳は、非常に高くつく臓器なのだ」 (c)AFP/Joshua MELVIN