【3月14日 AFP】多様な海洋生物が生息している世界有数の海域として知られるインドネシア東部のラジャアンパット(Raja Ampat)諸島で、英国企業所有のクルーズ船がサンゴ礁に激突し、サンゴ礁に大きな被害が出ていたことが分かった。研究者や当局が14日、明らかにした。

 事故が起こったのは同国東部・西パプア(West Papua)州ラジャアンパット諸島のクリ(Kri)島沖。ヤシの木が縁取る島をサンゴ礁や魚が豊富な海が囲み、旅行者や熱心なダイバーらが集まるスポットとして知られている。

 しかし今月に入り、クリ島周辺の引き潮時に4200トン級のクルーザー船「カレドニアンスカイ(Caledonian Sky)」がサンゴ礁に衝突してしまった。船にはバードウオッチング目当てに移動していた乗客102人と乗員79人が乗っていた。クルーズ船は他の船によってえい航されて離礁した。

 パプア大学(University of Papua)の海洋研究者で、事故の調査チームを率いるリカルド・タピラチュ(Ricardo Tapilatu)氏によると、被害範囲は1万3500平方メートルにおよび、修復には1620万ドル(約18億円)ほどかかる可能性があるという。

 また米自然保護団体コンサベーション・インターナショナル(Conservation International)は、事故現場が美しいサンゴ礁が残る海域だったことを理由に、クルーザーが立ち入るべきではなかったと主張している。同団体のインドネシア支部の責任者はAFPに対し、「これはわれわれにとって、とても、とても大きな損失だ」と語った。

 クルーザー船を運航していた英国の旅行会社「ノーブルカレドニア(Noble Caledonia)」は英字紙ジャカルタ・ポスト(Jakarta Post)に声明を発表し「環境保護に極めて厳しい姿勢で臨んでいた」が「サンゴ礁に与えたあらゆる損害に関し深く後悔している」と述べた。(c)AFP