【3月11日 AFP】フランスの首都パリ(Paris)を含むイル・ド・フランス(Ile-de-France)地域圏は9日、公共施設の建設現場の作業員にフランス語の使用を義務付ける新法令を承認した。同国各地でみられている外国人労働者を締め出そうとする動きに追従した形だ。

 同圏で承認された「小企業法」は、自治体の公共事業をもっとフランスの小企業に発注させようとするものだが、公的支出による建設計画や輸送機関、研修現場などの事業に従事する企業に対し、フランス語の使用を義務付けるいわゆる「モリエール(Moliere)条項」が含まれている。

 イル・ド・フランス地域圏のジェローム・シャルティエ(Jerome Chartier)副知事は「この条項は必要で、フランス語を話さない従業員たちだけでやって来ようとする外国企業を対象としている。そうした企業は改善する必要がある」と語った。

 欧州連合(EU)は、加盟各国が公的調達において、国籍だけを根拠に他の加盟国の企業を差別することがないよう規則を定めている。だが、この規則によって企業は東欧を中心として安価な労働力を一時的に流入させることができ、フランスでは地元の労働者の賃金が下がるとして長らく批判がある。

 モリエール条項の反対派は、フランスに来たばかりの外国人たちは職場で仏語を学ぶことで同国の社会に溶け込むことができるとし、新法令は外国人を不利な立場に置くことになると指摘している。また実際に法令が順守されているかどうかを監視し、徹底させることも難しいとされる。(c)AFP