【3月9日 AFP】近所の人や職場の同僚、国の指導者またはその妻はいったい、どれだけの稼ぎがあるのだろう? 透明性を推進するノルウェーではマウスを数回クリックするだけで、そうした情報が入手できる。

 米国では富豪の実業家が納税申告書を開示しないままホワイトハウス(White House)の主になり、フランスでは大統領選の最有力候補が勤務実態のない家族に公金から多額の給与を支払っていた疑惑に揺れている──いずれもノルウェーではあり得ないシナリオだ。

 ノルウェーの税務当局は毎年、すべての納税者に関する、収入や資産、納税額といった重要な情報をウェブサイトで公開する。他の人々も同じように税金を払っていることが分かれば、みんなで少額ずつでも自治体の予算を助けようという気持ちが強まるとの考えからだ。

 この慣例の起源は19世紀にさかのぼる。市民が役所または地元の税務署へ課税台帳の相談に行っていた時代だ。

 納税記録の公開は「男女あるいは異なる職種間の賃金格差など、社会・経済的な問題をめぐる議論でも役に立つ」と、税務当局のハンス・クリスチャン・ホルテ(Hans Christian Holte)氏は言う。

 北欧諸国は平等主義を強く唱えることで知られ、NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」の腐敗度ランキングでは透明性が高い国として昔から上位を占めている。

 スウェーデンとフィンランドではノルウェーのように納税記録がネットで公開されているわけではないが、電話1本かけるだけ、あるいは税務署に行くだけで入手することができる。