【2月25日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は24日、同首相には珍しいスキャンダルへの対応を余儀なくされ、大阪の学校法人への国有地売却問題への関与を否定した。

 熱烈なナショナリストが市場価格を大きく下回る価格で国有地を購入した件をめぐる議論はこの1週間過熱しており、会計検査院はこの国有地購入について検査を実施する方針を示した。

 これを受けて安倍首相は24日、不正行為が見つかり「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べた。

 問題となっているのは、超保守的な幼稚園を運営する森友学園(Moritomo Gakuen)が昨年、大阪府内の国有地を取得した件。報道によると、森友学園は約9000平方メートルの国有地を、すぐ近くにあるほぼ同じ広さの土地の価格の約10分の1に当たるわずか1億3400万円で取得した。

 森友学園のウェブサイトにはつい最近まで安倍首相の妻、昭恵(Akie Abe)夫人がこの土地に新設される小学校の名誉校長を務めると書かれていた。

 野党は、森友学園が国有地を格安で取得できたのは同学園の籠池泰典(Yasunori Kagoike)理事長が安倍首相とのつながりを持っていたからではないかと追及している。

 安倍首相は24日の衆院予算委員会で、昭恵夫人は不本意ながらいったん名誉校長職を引き受けたが、後に辞任したと述べた。

 安倍首相はまた、今年4月に開校予定の同小学校の設立資金を募るために首相の名前を利用したとして籠池氏に抗議したことも明らかにした。籠池氏は新設小学校の名前を「安倍晋三記念小学校」とすると言って寄付を募っていたが、安倍首相は、首相になる前のことで当時断った、と述べた。

 安倍首相は4年以上在職しているが、日本の政治家に定期的に取り沙汰されるこの手の金銭スキャンダルとはこれまで無縁だった。

 今なお高い支持率を誇る安倍首相に、この問題をめぐる議論がどれだけの影響を与えるかは分からない。しかしこの問題は、極右的な傾向を持つビジネスマン、政治家、メディアから安倍氏が強固に支持されていることを改めて浮き彫りにした。(c)AFP