【2月21日 AFP】スウェーデンの家具販売最大手イケア(IKEA)が、イスラエルの店舗でユダヤ教超正統派の顧客向けに女性モデルが一切登場しないカタログを配布したことで謝罪する事態となった。

 このカタログは、イスラエル人口の10%を占め、ユダヤ教の戒律を厳格に解釈して生活している超正統派の人たちを対象に、通常版のカタログとは別にイケアが初めて作成したもので、超正統派の男性モデルしか登場しない。

 イスラエルのニュースサイト「Yネット(Ynet)」によると、問題のカタログには超正統派の家庭で需要がある2段ベッドや、ユダヤ教の戒律に関する膨大な書籍が保管できる本棚など比較的大きな商品が紹介されている。

 カタログの表紙に写っているのは、ユダヤ教の教典がぎっしりと並んだ本棚と銀色の大燭台の近くに立って本を広げて眺める超正統派の男性と、カーペットの上で遊ぶ2人の少年。大きな青地の「イケア」のロゴの下には、ヘブライ語で「あなたたちのために用意しました」と書かれている。

 しかしYネットによると、このカタログについて「困惑する。皮肉っている。不信感を抱く」などの反応が起きているという。

 超正統派の一部の教徒は厳格な性別分離に従っており、ユダヤ人コミュニティ内では広告から女性や少女の写真が削除されることは頻繁にある。

 スウェーデンのイケアの広報担当者は「平等の権利を支持する」立場を強調した上で、「イケア・イスラエルが配布したカタログはこれに即していない」述べた。また「イスラエルのフランチャイズ法人はこれを真剣に受け止め」、今後は「わが社のブランドの方向性に即したカタログを作成する」と説明している。(c)AFP