【2月4日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の顧問で、先月に「もう一つの事実」という発言が話題を呼んでいたケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)氏が2日、今度は実在しない「イラク人過激派による虐殺事件」について語り、再び物議を醸している。

 昨年の米大統領選ではトランプ陣営の選対本部長を務めたコンウェー氏は、米ケーブルテレビ局MSNBCの番組に出演し、イスラム圏7か国の市民の入国を一時禁止したトランプ氏の大統領令について、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領が取った策と同様のものであると擁護。

「イラク人2人がこの国に入国し、過激思想に染まってボーリンググリーン虐殺事件の首謀者になった後、オバマ大統領がイラク難民プログラムを6か月間禁止した事実を、今まで知らなかった人は多いはず。これは報道されなかった」と発言した。

 だが、この「虐殺事件」は実際には存在していなかった。コンウェー氏は後にツイッター(Twitter)への投稿で「ボーリンググリーンのテロリストと言うつもりだった」と釈明している。

 2011年、ケンタッキー(Kentucky)州ボーリンググリーン(Bowling Green)在住のイラク人の男2人が有罪判決を受けたが、罪状は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に資金と武器の供与を試み、駐イラク米軍の兵士に対し簡易爆弾装置を使用したことだった。2人は長期の禁錮刑を受け、現在も収監されている。

 また米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、事件を受けオバマ前大統領はイラク難民の審査手続きの厳格化を指示したが、難民受け入れ中止や禁止を命じた事実はなかった。

 コンウェー氏は先月、トランプ大統領就任式の聴衆は「過去最大」だったという真偽の疑わしい主張を展開したショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官について、これはうそではなく「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」だと弁護し、話題を呼んでいた。(c)AFP