【1月27日 AFP】米国防総省は26日、ジェームズ・マティス(James Mattis)米国防長官の発言として、テロ容疑者などの尋問の際に拷問と見なされる手法を用いることを禁じた法律を支持する姿勢に変わりはないと発表した。

 水責めなどの拷問について、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は25日のインタビューで「間違いなく効果がある」と発言した。

 しかし、国防総省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道部長は、マティス国防長官が指名承認の公聴会で、一般的に拷問と見なされる尋問手法を禁止した「米陸軍野戦マニュアル(US Army Field Manual)」を軍や情報機関の尋問における唯一の基準とする方針を支持したとして、「この考えは今も変わっていない」と言明。「武力紛争法であるジュネーブ条約(Geneva Conventions)、国際法、米国内法を順守するとのマティス長官の証言に変わりはない」と述べた。

 一方、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権でコリン・パウエル(Colin Powell)国務長官(当時)の首席補佐官を務めたローレンス・ウィルカーソン(Lawrence Wilkerson)氏は26日、米国が拷問を考案した者を処罰しなかったことが、再び拷問への「道を開く」状況を作ったと批判した。

 ウィルカーソン氏はブッシュ政権時代を振り返り、拷問に関する法的根拠を示した「拷問メモ」の草案を2002年に作成した当時のCIA長官ジョージ・テネット(George Tenet)氏と、ホワイトハウス(White House)顧問だったアルベルト・モラレス(Alberto Morales)氏が「いかなる方法・形式によっても罰せられていないこと」を「憂慮していた」と語った。

 米陸軍野戦マニュアルは、米中央情報局(CIA)などあらゆる米政府機関に適用されている。CIAは2001年9月11日の米同時多発攻撃後に拘束したテロ容疑者に対し水責めなどの「強化尋問手法」を用い、拷問だと非難された。これらの尋問手法は、2009年に就任したバラク・オバマ(Barack Obama)大統領(当時)によって禁止された。(c)AFP