【1月27日 AFP】脂肪をめぐる最新の流行は、吸引から冷却に移行している。

 世界中の形成外科医、皮膚科医、美容関係者が美容医療の動向を分析する国際学会「IMCAS」が仏パリ(Paris)で開催中だ。その最新情報の一部を紹介する。

■脂肪は冷やして排出

 メス、針、麻酔は不要。「脂肪冷凍装置」を使えば、読書している間に脂肪を除去できるという。

 米食品医薬品局(FDA)から2010年に認可されたこの施術では、腹部のぜい肉など、体の脂肪の多い部位を装置に入れ、体温以下だが0度は下回らない程度の温度に冷却して脂肪細胞を破壊する。

 脂肪細胞は他の皮膚細胞に比べて低温に弱く、この施術は他の皮膚細胞には害を及ぼさない。

 米ユタ(Utah)州の形成外科医で、国際美容外科学会(ISAPS)のレナート・サルツ(Renato Saltz)会長はAFPに「1時間冷却すると、その部位の脂肪細胞の20~23%が消失する」と語った。「脂肪細胞は代謝され、尿や便で体外に排出される」

「低温脂肪分解」とも呼ばれるこの手法の推進者らによると迅速で痛みがない上に、回復のための「休止時間」が不要なのだという。

「映画を見ている患者さんもいるし、私の場合は背中に施術を受けている間にメールの返事を書いていた。体に機械をセットして1時間後には職場に行ける」とサルツ氏。当初は多少の腫れがみられるが、2~3週間後には効果が明確に表れるとサルツ氏は言う。

 ISAPSの最新データによると、脂肪吸引は2015年に実施された施術数が139万回で、美容外科手術の中では豊胸術の149万回に次いで2番目に人気が高い施術だという。

「非外科的な脂肪除去」は急成長分野の一つで、2015年の施術数は42万5000回を超え、米国だけで12万回近くに達している。「これは大したことだ。今や世界で最も人気が高い施術の一つになっている」とサルツ氏。

 サルツ氏の患者のうち、脂肪冷却の患者の35~40%は男性だという。他の美容整形術では、男性患者は全体の1割にとどまるとサルツ氏は付け加えた。