【1月27日 AFP】米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」は26日、人類による地球破壊までの残り時間を比喩的に示す「終末時計」が30秒進み、残り2分30秒になったと発表した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による核兵器や気候変動に関する発言が、世界の安全性低下につながる一因になったとしている。

 終末時計が最後に動かされたのは2015年で、その際は終末を示す午前0時までの残り時間が5分から3分に縮められていた。ノーベル賞(Nobel Prize)受賞者15人を含む科学者や識者らの団体が出した声明によると、残り時間が短縮されたのは、「世界規模での露骨なナショナリズム(国家主義)の台頭、トランプ大統領の核兵器および気候問題に関する発言、発展を続ける技術によって暗雲が立ち込める世界の安全保障情勢、科学的専門性に対する軽視の増加」といった懸念があるためだという。

 同誌後援会の理事長を務めるローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)氏は、米首都ワシントン(Washington D.C.)にあるナショナル・プレスクラブ(National Press Club)で開いた記者会見で、終末時計が最後にこれよりも午前0時に近づいたのは、ソ連が初の水爆実験を実施し現代の核開発競争を生むきっかけとなった1953年だったと指摘。

 また、核戦力の増強を相次いで示唆したトランプ氏とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を念頭に、「世界が直面しているとわれわれが考える(人類)存続に対する脅威の認識に、高い地位にある1人または2人の人間の言葉や政策方針がここまで影響力を持つようになったのは初めてだ」と述べた。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI