【1月26日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が大統領令を通じて、国際機関への拠出金の抜本的な削減や、米国の離脱につながる可能性もある条約の見直しを検討していることが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が25日、報じた。国連(UN)への分担金のカットや、地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱といった事態を招く恐れがある。

 トランプ政権は2つの大統領令を準備しており、ニューヨーク・タイムズはその草案を入手した。

 草案によると、大統領令の一つでは、パレスチナの正式加盟を認めていたり、人工妊娠中絶を資金援助する事業、イランや北朝鮮に対する制裁を回避する活動を支援したりしている国連機関や国際組織すべてについて、資金拠出を全面的に停止する。

 また「テロ支援国によって管理されたり、大きく影響を受けたりしている」組織や、組織的な人権侵害に関与している組織への資金拠出も停止する。

 米国によるその他の国際組織向け資金拠出について、少なくとも40%削減することや、国連平和維持活動(PKO)向け資金の精査に当たる委員会を設立することも指示する。

 米国は国連分担金が年間78億ドル(約8800億円)と他国に抜きん出て多く、運営予算の22%、PKO経費の28%を負担している。米国がPKO向け拠出金の削減に踏み切れば、アフリカを中心に世界各地で展開されている16のPKOにとって深刻な打撃となるのは確実だ。

 もう一つの大統領令では、現行あるいは保留中の多国間条約のすべてについて見直しを行い、その上でどの交渉や条約から米国が脱退すべきかについて勧告を求める。パリ協定も対象となる可能性がある。

 トランプ大統領はこれまで気候変動に対して公然と疑問を呈し、温室効果ガスの削減に関する米国の公約をほごにする方針も示していた。

 ただ、見直しの対象となる条約は「国家安全保障や送還、国際貿易に直接関係しない」ものとしている。(c)AFP