【1月25日 AFP】約4億7100万年前の海洋生物の爆発的増加は、隕石(いんせき)が地球に降り注いだことが引き金で起きたのではないとする研究結果が24日、発表された。これは、現在の主流となっている学説に異を唱える結果だという。

 スウェーデンとデンマークの研究チームによると、「オルドビス紀の生物大放散事変(Great Ordovician Biodiversification EventGOBE)」として知られる生物種の急増が始まったのは、多くの隕石が地球に衝突した時期より約200万年前早いという。ただし研究チームは、GOBEの原因に関しては、代わりとなる説明を提供していない。

 今回の研究結果は、スウェーデンにある隕石を含む堆積層から採取した結晶の最新の年代測定結果に基づくものだ。

 研究チームは、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した研究論文に「今回の研究では、これら2つの現象に関係性がないことが示された」と記している。

 論文の共同執筆者で、スウェーデン・ルンド大学(Lund University)のアンデシュ・リンズコグ(Anders Lindskog)氏によれば、地球の海においては「生物多様性に対する、測定可能な『地球外からの』影響が存在しない」ことを、年代測定データが証明しているという。

 海洋生物の多様性を爆発的に拡大させたGOBEは、約5億4000万年前のカンブリア紀に地球上で最初に生命が急激に多様化した「カンブリア爆発」の約7000万年後に始まった。

 GOBE発生の引き金は、火星と木星の間にある小惑星帯の天体の破片が雨のように降り注いで地球に衝突したことだと、一部の科学者らは主張している。この説によると、こうした隕石の衝突が、既存の生物の多様化を促進させるのに十分な環境変化を引き起こした可能性があるという。

 今回の研究でも、GOBE発生させたものの正体について未解決のままだが、リンズコグ氏は、複数の自然現象の組み合わせがその背景にある可能性が高いと推測している。

 リンズコグ氏は、AFPの電子メールでの取材に「オルドビス紀には海水面が非常に高い状態が続いていた。そのために生物が繁栄するための領域が拡大したというのは、妥当な考え方だ」と述べた。

 そして、「小規模の大陸が数多く存在したこと(により、各大陸に特有の動物相が増え、異なる生物種の総数が増大したこと)や、(寒冷化の可能性が最も高い)有益な気候変動とが組み合わさることで、生物多様性拡大のちょっとした『レシピ』が出来上がる」と自らの考えを説明した。(c)AFP