【1月24日 AFP】ドイツの右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は23日、首都ベルリン(Berlin)にあるナチス・ドイツ(Nazi)に虐殺されたユダヤ人犠牲者を追悼する、通称「ホロコースト記念碑(Memorial to the Murdered Jews of Europe)」を批判し、過去のナチスの行いを償うことをやめるよう強く求める演説を行った党幹部について、除名しないことを決めた。

 AfDの執行委員会は3時間にわたる電話会議を行い、一連の発言を行った中部テューリンゲン(Thuringia)州の党代表ビョルン・ヘッケ(Bjoern Hoecke)氏に対し、除名ではなく「懲戒処分」とすることを決定した。処分の詳細は明らかにされていない。

 AfDは声明で「執行委員会はビョルン・ヘッケ氏が1月17日にドレスデン(Dresden)で行った演説は党のイメージを損ねたとの結論に達した」と述べた。

 国内メディアは情報筋の話として、ヘッケ氏に対する処分は激論の末、賛成10、反対3で承認されたと報じた。

 9月に行われる総選挙を控えて党内抗争がくり広げられるなか、AfDのフラウケ・ペトリ(Frauke Petry)代表は先週、ヘッケ氏がホロコースト記念碑を「首都中心部に設置された恥ずべき記念碑」と批判したことについて、「党の厄介者だ」と非難していた。

 ヘッケ氏は当時、演説に集まった聴衆から「ドイツ!ドイツ!」という歓声が上がるなか、「われわれは記憶に関する政策を180度転換させる必要がある」と述べた。

 この発言は大きな騒動につながり、社会民主党(SPD)のラルフ・ステーグナー(Ralf Stegner)副党首は、歴史が書き換えられることを呼び掛ける「憎悪を扇動する演説」だと非難した。ドイツでは憎悪を扇動することは違法とされている。(c)AFP/Deborah COLE