【1月14日 AFP】米国で利用可能な26種の抗生物質のすべてに耐性を持つ細菌に感染した米国人女性が死亡していたことが、米疾病対策センター(CDC)の今週の発表で分かった。改めてスーパー耐性菌への懸念が高まっている。

 発表によると、この70代の女性は昨年9月にネバダ(Nevada)州で死亡。それまでは脚を骨折してインドで入院治療を受けていた。

 女性は米国内で利用可能なすべての抗生物質に耐性を持つカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に感染した後、敗血症で死亡した。

 昨年8月、女性の傷口の一つから肺炎桿菌(はいえんかんきん)として知られるCRE株が検出されていた。

 女性が感染した菌がどのようにして薬剤耐性を獲得したのかは明らかになっていない。

 専門家によると、女性は亡くなる前の2年間、インドの病院で大腿(だいたい)骨骨折と股関節障害の治療を繰り返し受けており、直近では昨年6月にも治療を受けていた。

 女性はネバダ州でこの菌への感染が確認され、すぐに院内感染を防ぐために隔離された。

 死後検査によると、女性の症例には米国では承認されていない抗生物質「ホスホマイシン」による治療で対処できた可能性がある。

 英スコットランド(Scotland)のストラスクライド大学(University of Strathclyde)のポール・ホスキッソン(Paul Hoskisson)準教授によると、英国を含む欧州数か国ではホスホマイシンが承認されており、今回死亡が発表された女性のような症例にはホスホマイシンを静脈内に投与するという。(c)AFP