【1月11日 AFP】赤身肉が多く含まれる食べ物には、憩室炎(けいしつえん)と呼ばれる腸の炎症を引き起こす恐れがあることを示唆する研究論文が10日、発表された。

 ただ、研究結果については、食肉が憩室炎の原因である証拠を提示するものではないと研究者らは注意を促している。

 憩室炎は、腸の壁の憩室と呼ばれる小さなふくらみが炎症を起こすもので、比較的よくみられる病気だ。この病気による入院患者は、米国だけでも年間約20万人を数える。このうち、4%が腸壁の貫通や膿瘍などの合併症を伴うという。

 その高い有病率と広い影響にもかかわらず、憩室炎の原因についてはほとんど知られていない。

 赤身肉と憩室炎の関連性を示唆した今回の研究論文は、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の消化器病学専門誌「ガット(Gut)」に発表された。米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)の専門家チームによる今回の研究では、米国の4万6500人の26年間の診療記録を詳しく調べた。

 対象者らは、4年ごとに魚肉、鳥肉、赤身肉の摂取について詳細に問われた。26年間に憩室炎を発症したのは764人だったが、この発症グループには赤身肉を多く食べる傾向がみられた。また、未発症グループと比べて、喫煙量および鎮痛剤の服用量が多かった一方で、運動量は少なかった。

 しかし、他のリスクを考慮に入れて調べた場合でも、赤身肉を多く食べる人たちが憩室炎を患うリスクは、食べる量が最も少ない人たちよりも60%近く高くなった。

 これまでの研究では、憩室炎は、喫煙、肥満、消炎剤の常用などと関連が指摘されていた。繊維質不足の食事も原因の一つと疑われているが、他の食品関連の原因と考えられるものは未検証のままだ。(c)AFP