【1月3日 AFP】今年4月に大統領選を控えるフランスで、極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首に似たキャラクターを登場させて欧州で台頭するナショナリズム(国家主義)を描いた新作映画が来月公開されることを受け、同党幹部から怒りの声が上がっている。

 ベルギーのリュカ・ベルヴォー(Lucas Belvaux)監督が手掛けた映画『Chez nous(私たちの家)』は、仏北部に住む看護師が、「愛国連合」なる強硬派政党から選挙に立候補しないかと持ち掛けられるストーリー。

 この架空の政党は、その主義主張や、仏ベテラン女優のカトリーヌ・ジャコブ(Catherine Jacob)が演じる金髪の女性党首の描かれ方から、FNがモデルになっていることはほぼ疑いようがない。

 同党の幹部らは、選挙戦の真っ最中に「明らかに反FN」の映画が公開されるなど「言語道断」だなどと息巻いている。

 これに対しベルヴォー監督は2日、同国のニュース専門放送局BFMTVに対し、反応の大きさに驚いているとコメント。「これは反FN映画というよりも、ポピュリズム(大衆迎合主義)的なメッセージや、人々が政治にいかに関わるかに関する映画だ。私が関心を抱いているのは有権者らであり、政党ではない」と反論した。

 仏大統領選をめぐる最新の世論調査では、5月の決選投票にルペン氏が残るものの、右派候補のフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)氏との一騎打ちで敗れるというのが大方の予想となっている。とはいえ昨年、英国の国民投票で同国の欧州連合(EU)離脱が決まり、米大統領選ではドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利を収めるなど、予想が覆る事態が相次いだことを受け、ルペン氏勝利の可能性も真剣に受け止められている。(c)AFP