【12月27日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が、米韓両国で政権移行が実施される来年を、核開発を進める「絶好のタイミング」と位置付けていると、韓国へ亡命した北朝鮮の元外交官が27日、明らかにした。

 今年8月、北朝鮮の駐英副大使を務めていた際に韓国へ亡命したテ・ヨンホ(Thae Yong-Ho)氏は、初めてとなる記者会見を韓国の首都ソウル(Seoul)で同日開いた。その中でテ氏は、北朝鮮で今年5月に開かれた党大会で、来年末までに核開発を「完了」させるよう、金正恩氏が指令を出したと明かした。

 テ氏は地元記者団を前に「北朝鮮は、韓国で大統領選が実施され、米国でも政権移行が行われる2017年を、核開発の絶好のタイミングとみている」と述べた。

 これは「米韓両国が国内政治にかかりきりになり、物理的、軍事的措置を講じることはできないだろうという計算に基づいている」としている。

 北朝鮮は今年、2度の核実験を断行。米本土への核弾頭の着弾を可能とさせることでもたらされる抑止力の獲得を究極の目標に掲げ、複数のミサイルを発射した。

 テ氏の記者会見の内容によると、金正恩氏はいかに巨額の経済的な見返りを提示されたとしても、自国の核兵器庫を手放すことは決してないという。

 金正恩氏の最大の狙いは、正式に核保有国と認められた上で、その立場から米国と新たな対話を開くことにある。

 テ氏はロンドン(London)在住中に、妻と息子2人を連れ韓国へ亡命。脱北した最高位の外交官の一人となった。(c)AFP