【12月31日 AFP】2016年のスポーツ界では、サッカーフランス代表ポール・ポグバ(Paul Pogba)が移籍金の史上最高額を更新するなど、例年にない大規模の資金がスポーツ界に投じられ、数百万ドルのビジネスブランドと化したスター選手が巨万の富を築き上げた。

 23歳のポグバは今夏、イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)からイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に加入。ポグバの移籍金は史上最高額の1億500万ユーロで、3年前にスペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)に加入したギャレス・ベイル(Gareth Bale)の1億100万ユーロを上回った。

 ポグバの大型契約については、一部のファンや評論家から不評を買ったが、クラブの経営陣やスポーツビジネスマンらは、すでにこの強烈な移籍市場のインフレの波にのみ込まれている。テレビ放映権料の爆発的な高騰もあって充実したプレミアリーグの資金力は、緊縮財政や求職者の列をあざ笑うかのようだった。

 プレミアリーグの各クラブは、2016年夏の移籍市場で総額13億8000万ポンド(約2000億円)を投じており、これは2015年に比べて34パーセント増となっている。スター選手の存在により、プレミアリーグは国外からの関心も集め、11月には中国で映像配信を行うPPTVが6億ユーロ(約736億円)で放映権を獲得した。

 ユナイテッドで長期政権を築いたアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)氏は、英紙デーリー・メール(Daily Mail)に対し、2016年から2019年にかけてプレミアリーグが英スカイ・スポーツ(Sky Sports)、BTスポーツ(BT Sport)と結んだ国内の放映権契約は83億ポンド(約1兆2000億円)となり、移籍金や給料が一気に上昇したとの見解を示している。

 大型契約を結んだポグバだが、それでもスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)でプレーするリオネル・メッシ(Lionel Messi)や、レアルのクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)のような大物に追いつくには長い道のりが待っている。米経済誌「フォーブス(Forbes)」によると、スポーツ選手の年間長者番付で1位となったロナウドは、給料や広告費などで1週間に推定160万ユーロ(約2億円)を手にしている。

■スター選手の存在で放映権が高騰

 スポーツ界への投資の波はとどまることを知らない。ドイツ・ブンデスリーガは3年総額34億8000万ユーロ(約4270億円)の放映権契約を結び、収入は前年から約40パーセントもアップした。米プロバスケットボール協会(NBA)も潤沢な資金にあふれ、米企業によるフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の買収額は数十億ドルに及んだ。

 フォーブスによると、NBAの放映権収入は3倍となり、全世界での収益が52億ドル(約6109億円)、営業利益は過去最高の9億ドル(約1057億円)を記録した。そしてニューヨーク・ニックス(New York Knicks)の30億ドル(約3524億円)を筆頭に、各球団の資産価値が平均13パーセントも上昇している。

 昨年から大幅に上昇しているNBAの放映権料は、プレミアリーグをわずかに上回っており、各チームは選手の年俸アップに動いている。クリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)のレブロン・ジェームズ(LeBron James)の今季の年俸は、2300万ドル(約27億円)から3090万ドル(約36億円)に上がった。

 F1も勝ち組で、米メディアの巨頭ジョン・マローン(John Malone)氏が会長を務めるリバティメディア(Liberty Media)に買収されたことで、F1の企業としての価値は80億ドル(約9398億円)になり、将来的には収益増加が見込まれている。(c)AFP/Francoise Chaptal