【12月14日 AFP】米国防総省は13日、シリアの古代都市パルミラ(Palmyra)を再び制圧したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員が、シリア政府軍が同地に放棄した戦闘用の装備品などを入手したと明らかにした。

 パルミラは3月、ロシア軍の空爆とバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領の政権軍からの攻撃によりISから奪還されたが、今月11日にISは再び同地を制圧した。

 米国防総省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道官は、ISがパルミラを再び制圧したことについて「これまでのISIL(ISの別称)の反撃の中で最も重大なものの一つだろう」と話し、「その結果、ISILは(アサド)政権軍が残した装備品のすべてを手に入れている。装甲車両や迫撃砲が含まれている可能性もある」と述べた。

 ISが2014年にイラク内外で勢力を拡大した際、地元の治安部隊はわずかに抵抗しただけで、大半は米国から提供されていた兵器や装備品を放棄して撤退した。

 ISは2015年5月に初めてパルミラを制圧すると、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているローマ時代の神殿などを破壊し、古代の遺物を略奪した。

 米国防総省と米軍主導の有志連合は、ロシアとシリア両政府がシリアの反体制派が拠点としていた北部アレッポ(Aleppo)への空爆に集中するあまり、パルミラの状況から目を離したと批判している。

 デービス報道官は、ISがパルミラに侵攻すると(アサド)政権軍は「直ちに」撤退したと指摘した。(c)AFP