【12月3日 AFP】窮乏と圧政に耐え続けるか、性奴隷として売られる危険を冒して逃亡する道を選ぶか──。北朝鮮の女性たちはこんな厳しい選択を迫られていると、ベストセラー作家で活動家の脱北者、イ・ヒョンソ(Lee Hyeonseo)さんは警鐘を鳴らす。

 軍将校の娘であるイさんは、典型的な脱北者とは境遇が異なる。彼女に国境を越えさせたのは、絶望ではなく好奇心だった。脱北から20年近くたち、彼女は自伝『7つの名前を持つ少女(The Girl with Seven Names)』で独裁政権下の生活の現状を暴露するなど、北朝鮮を声高に批判する反体制派の声となった。

 イさんが今、強く訴えているのが、脱北した人々、特に女性たちの保護の強化だ。多くの女性が中国で拘束されて売春婦として売られたり、中国人との結婚を強制されたりしていると言う。「少数の幸運な女性を除いて、みんなひどく悲惨な人生を送ることになる」と、イさんはAFPに語った。

 そうした過酷な状況から必死で逃げてきた女性たちの「生き残り証言」に衝撃を受けたイさんは、NGO「ノーススターNK(North Star NK)」を設立。東南アジア諸国と中国に配属された現地スタッフらが、性奴隷として売られた女性たちの逃亡を助けている。「ひどい屈辱を受け、傷ついた女性たちは、何をされたか話したがらない。だから支援に乗り出すべきだと決断した」と、イさんは言う。