【11月11日 AFP】外見に非の打ち所がない生鮮食品にこだわるスーパーマーケットと、任意に表示されている「賞味期限」ラベルが原因で、世界の飢餓人口を賄えるほどの膨大な量の食品が廃棄されている。国連食糧農業機関(FAO)が10日、明らかにした。

 FAOの発表によると、毎年13億トン近くもの食品が廃棄されており、これは世界中で飢えに苦しむ10億人の人々を十分に養えるほどの量に匹敵するという。

 FAOは、国連(UN)の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」に関する報告書を引用して、最終的に廃棄される食品の生産に使用されるエネルギーは、米国と中国に次いで世界で3番目に大きな温室効果ガスの排出要因となっていると指摘した。

 10日に開催された食品廃棄問題に関するイベントで、国連と市民団体の専門家らは、この問題の解決には、食品の販売方法を決定的に変革することが不可欠だと述べた。

 多くの欧米のスーパーマーケットでは、曲がったキュウリや表皮に傷のあるオレンジなどの見栄えが良くない生鮮食品が並んでいるのは、有機栽培(オーガニック)食品の売り場に限られる。

 食品廃棄問題に取り組む英環境保護団体「フィードバック・グローバル(Feedback Global)」のサラ・オッペンハイマー(Sarah Oppenheimer)氏によると、全世界のスーパーマーケットチェーンが「外見上の表面的な不完全さ」を理由に、食べられる食品を販売不適格と判定しているという。

 見栄えの良いパックに均等に収まるようにするために、インゲンの端を切り取ってそろえるなどの処理が販売店で広く行われていることにより、インゲンのおよそ20%が無駄になっているとオッペンハイマー氏は批判した。

 またオッペンハイマー氏は、販売店で使用されている「販売期限」や「消費期限」や「賞味期限」などのラベルは紛らわしく、実際に商品の安全性に関わる期限とは無関係である場合が多いと指摘し、ラベル表示システムの標準化の必要性を訴えた。(c)AFP