【10月21日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が米国に対して衝撃的な「決別」宣言をしたことを受け、フィリピン外交が混乱している──米国からも困惑の声が上がっている他、ドゥテルテ大統領の一部側近の間でも見解が食い違っている。

 ドゥテルテ大統領はこれまでも連日のように米国を罵倒または侮辱するような発言をしてきたが、中国訪問中の今回の発言は、ドゥテルテ大統領が70年間に及ぶ同盟関係を壊し、中国とロシアに接近したいと考えていることをこれまでになく強く示唆するものとなった。

 ドゥテルテ大統領は20日、中国人実業家ら数百人を前に演説し拍手を受けたが、その際、「私は米国との決別を表明する」と語り、「私は、あなたたちのイデオロギー的な流れに自分の身を置き直した。場合によってはロシアへも行き、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と話し合い、世界に立ち向かっているのはわれわれ三者──中国、フィリピン、ロシア──だと彼(プーチン氏)に伝えるだろう。これしか道はない」と述べた。

■混乱と懸念

 ドゥテルテ大統領の反米演説は米政府に混乱をもたらしており、米政府高官らは、フィリピン政府はドゥテルテ大統領のこれらの発言を公式な方針としていないことを繰り返し指摘している。

 米国務省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は20日、「(ドゥテルテ大統領の)発言をわれわれが承知していることはまず指摘しておきたい」と語り、「その上でなお、そうした発言が、われわれとフィリピン国民や政府との間の、安全保障の観点に限らないさまざまな異なったレベルにおける非常に親密な関係と、不可解なまでに食い違っているとの見解をわれわれは持っている」と述べた。

 カービー報道官は、「決別」発言について米政府は説明を求める方針だと語った。(c)AFP