【10月6日 AFP】人の寿命の「上限」を発見したとする研究論文が5日、発表された。この研究結果を受け、記録史上最も長生きした人物の122歳という金字塔には、誰も挑戦しようとすらしなくなるかもしれない。

 米アルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)の研究チームは、世界40か国以上の人口統計データを詳細に調べ、長年続いた最高寿命の上昇が1990年代に、すでにその終点に「到達」していたことを突き止めた。

 最高寿命の上昇は、1997年頃に横ばい状態に達した。1997年は、フランス人女性ジャンヌ・カルマン(Jeanne Calment)さんが前人未到の122歳と164日で亡くなった年だ。

 論文の共同執筆者で、アルバート・アインシュタイン医科大のブランドン・ミルホランド(Brandon Milholland)氏は、AFPの取材に「それ以降は、世界最年長者が115歳前後という傾向が続いている」と説明した。

 こうした傾向は、医療、栄養、生活などの状態の向上を受け、平均寿命が伸び続けているなかでのものだ。

 言い換えれば、最近は老齢期まで生きる人が増えているが、群を抜いて長寿命の人は、以前ほどの高齢には達していなかったということになる。

 ミルホランド氏は、「このような(傾向)が当面の間、変わらず続くことが予測される」と指摘する。

 そして「もう少し(115歳より)長生きする人がいるかもしれないが、今後どの年においても、世界の誰かが125歳まで生きる確率は、1万分の1に満たないと考えられる」としながら、「過去数十年間における医学の進歩は、平均寿命と生活の質(クオリティー・オブ・ライフ、QOL)を上昇させたかもしれないが、最高寿命を伸ばすことには寄与していない」と続けた。