【9月29日 AFP】欧州のサッカークラブ、特にイングランド・プレミアリーグのクラブ買収に乗り出す中国の富豪が増えるなかで、中国のメディア大手はの担当者は、地元の感情に配慮することが買収成功の鍵だと話している。

 スポーツ関連サービスのプラットフォーム企業「阿里体育(Alisports)」は28日、サッカービジネスのイベントを開催している組織「SoccerEx」の2016年世界大会で渉外担当者が講演を行い、欧州サッカー界の陰の実力者たちとの交渉を認めつつ、複雑な心情を感じ取っていると話した。

 渉外担当者は、「こちらへ来てやり取りをしていると、興奮と不安の両方があるのを感じます。投資家にはそれぞれの動機がありますが、一つだけお約束できることがあります。それは私たち(中国人)が投資をするときは、必ず現地の感情に細心の注意を払うということです」と語った。

「クラブには、それを取り巻くさまざまな文化と感情があります。買い手は、クラブが中国サッカーのためだけにあるのではなく、地元の人たちのためのものでもあるということを意識しなくてはなりません」

 イングランドでは、中国の実業家がこのところ資金力を見せつけており、この1年でプレミアリーグのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich AlbionWBA)や、チャンピオンシップリーグ(2部)のアストン・ビラ(Aston Villa)とウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC(Wolverhampton Wanderers FC)が買収されており、さらに中国スーパーリーグ(1部)の各クラブが移籍市場を席巻している。

 会計事務所デロイト(Deloitte)のスポーツ・ビジネス部門で上級コンサルタントを務めるティム・ブリッジ(Tim Bridge)氏も、この担当者の意見に同意する。

 ブリッジ氏はAFPに対し、「われわれ(デロイト)は、現時点のイングランド・プレミアリーグのクラブは、非常に安定した利益が見込める投資対象だと考えています。しかしもちろん、クラブを買い取ろうとするオーナーは、自らの要求とクラブが持つニーズとのバランスを取らなくてはなりません」とコメントしている。

 ハル・シティ(Hull City)が2009年に中国で初めて試合を行った際、当時クラブの会長を務めていたポール・ダフェン(Paul Duffen)氏は、適切な理由さえあれば国外からの投資は歓迎だと話していた。

「彼らは、買収の理由を考える必要がある。虚栄心を満たす道具にしたいだけなら、うまくいかないこともあるだろう。そして、取引のおこぼれにあずかろうとする中間者をできる限り排除することだ。それができなければ、買収は機能しない」

「買い手は現地の文化を理解し、それを尊重しなくてはならない。文化を変えようとすれば、無駄骨を折る羽目になる」