【9月19日 AFP】オーストラリア沖合にある世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)で2010年に座礁した中国船の所有企業が19日、賠償金として3930万豪ドル(約30億円)を支払うことで豪政府と合意に達した。

 2010年4月、貨物を満載した中国の石炭運搬船「深能1号(Shen Neng 1)」が浅瀬で座礁した事故では、大量の重油が漏出し、生態学的な大災害の脅威を招いた。大惨事は免れたものの、巨大な船体は全長3キロにわたってサンゴ礁を傷つけ、9日後にようやく引き揚げられた。

 「深能1号」を所有する深セン能源運輸(Shenzhen Energy Transport)とその保険会社は、事故以来過去6年にわたって賠償責任を負うことを拒否してきたが、19日に法廷外で和解にこぎつけた。

 オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ(Josh Frydenberg)環境・エネルギー担当相は「汚染を除去するための資金を求めるわが国の活動が、世界遺産(World Heritage)に指定されたグレートバリアリーフを傷つけることは容認しないという明確なメッセージを送った」と評価した。

 しかし、環境保護団体のグリーンピース・オーストラリア(Greenpeace Australia)はこの賠償について「著しく不十分」だと批判し、和解を一蹴した。同団体で太平洋地域のサンゴ礁を担当するシャニ・テイガー(Shani Tager)氏によれば、完全な汚染除去に必要として政府が挙げていた額は、1億4000万豪ドル(約108億円)以上だと指摘した。

 同事故については、豪当局による2011年の捜査で、疲労していた一等航海士の責任が認められている。また、電子海図を含む航路計画の適切な使用に関する手順やガイダンスが、安全管理システムに含まれていなかった点も明らかになっていた。(c)AFP