【9月15日 AFP】2013年に打ち上げられた宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」の観測データから、天の川銀河(Milky Way)の恒星10億個以上で構成される銀河系地図が作製された。この地図により、太陽系がある銀河系の既知の恒星のリストが大幅に拡大されることとなる。欧州宇宙機関(ESA)が14日、発表した。

 世界中の天文学者らが首を長くして待っていた地図には、11億5000万個の星が記録されている。総勢450人のガイア計画チームの一員であるフランソワ・ミニャール(Francois Mignard)氏は、この初期カタログについて、「これまでに作製された中で最大規模かつ最高精度の全天地図だ」と述べている。

 スペイン・マドリード(Madrid)にある、ESAの宇宙天文学センターで行われた記者会見では、裸眼で見える星の50万分の1の明るさの星をも含む、驚くべき銀河系地図が公開された。記者会見の模様はインターネットでも中継された。

 ガイアは、全天走査観測を繰り返し行う2連式の望遠鏡と、宇宙望遠鏡としては史上最高の解像度となる10億ピクセルのカメラで、星の像を捉えた。この解像度の高さについて、ガイアのデータ処理・解析チームの一員で、オランダ・ライデン大学(Leiden University)の研究者のアンソニー・ブラウン(Anthony Brown)氏は、1000キロ先の毛髪の直径を測定できるほどだと述べた。

 ガイアは、約10万光年にわたって広がる銀河系の恒星の位置を2方向でマッピングする。また、その位置を特定するだけではなく、各恒星を何度も走査観測することで、運動の軌跡も描画できる。

 14日に公開された地図には、恒星10億個以上の位置が示されている。天文学者らにとっては宝の山だが、それでもなお、銀河系に存在する星の推定総数の約1%にすぎない。うち200万個の星については、固有運動の軌跡も示されているという。

 ガイアの5年間にわたるミッションでは、位置と運動の両方のデータが取得される恒星のカタログが、これまでの500倍に拡大する見込みだ。またそれと同時に、温度、光度、化学組成など、天文学者らが各恒星の「身分証」と呼ぶ重要な基本データも収集される。

 さらに、これまで未検出で、ガイアによって新たに発見された恒星以外の天体も数千個に及んでいる。この中には、将来的に地球の脅威となる可能性がある小惑星や恒星近傍を周回する惑星、超新星の爆発などが含まれている。