【9月13日 AFP】ノルウェーの裁判所は12日、ヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)を着用したイスラム教徒の女性へのサービス提供を拒んだ美容師に対し、宗教的な差別行為に当たるとして、1万ノルウェークローネ(約12万3000円)の罰金および裁判費用として5000ノルウェークローネ(約6万2000円)の支払いを命じた。

 ノルウェー南西部のブリヌ(Bryne)で美容院を経営しているメレーテ・ホドネ(Merete Hodne)被告(47)は昨年10月、店を訪れたマリカ・バヤン(Malika Bayan)さん(24)へのサービス提供を断り、宗教的な差別をした罪で、最高6月の禁錮刑を言い渡される可能性があった。

 ヤーレン(Jaeren)地裁は、「被告の行為は故意であり、バヤンさんがイスラム教徒であることを理由に美容院から追い出されたのは意図的な差別であるのは明らか」だと述べている。ホドネ被告は当初、宗教的な差別に対して罰金8000ノルウェークローネ(約10万円)が科されたものの、支払いを拒否したため、事件は先週8日、ヤーレン地裁に持ち込まれていた。

 日刊紙ベルデンスガング(Verdens Gang)によれば、ホドネ被告は裁判で、ヒジャブは宗教的シンボルというより、自身を脅かすイデオロギーを象徴する政治的シンボルとみなしたと証言。判事らに対して「私はヒジャブを見ても宗教は連想せず、全体主義的なイデオロギーや体制を思い浮かべる」と主張していた。

 起訴状によれば、ホドネ被告はバヤンさんに対し、「バヤンさんのような客は受け入れていないので、別の店を探してくれ」と話していたという。

 ホドネ被告はバヤンさんへのサービスを断ったこと自体は認めているが、もっと丁重に断ったとして罪状を否認している。

 ノルウェー通信(NTB)の取材に応じたホドネ被告の弁護士によれば、同被告は控訴する方針だという。(c)AFP