【9月13日 AFP】国際パラリンピック委員会(IPC)は12日、リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男子1500メートルT12/13(視覚)のフィニッシュラインで、頭の上で腕を交差するポーズをみせ、エチオピア政府の弾圧に抗議したタミル・デミッセ(Tamiru Demisse)に対して警告を与えた。

 11日に行われた同レースの決勝で銀メダルを獲得したデミッセは、8月に開催されたリオデジャネイロ五輪の陸上男子マラソンで銀メダルに輝いた同じエチオピアのフェイサ・リレサ(Feyisa Lilesa)がゴールインする際にみせたのと同じ抗議行動に出た。

 頭の上で×印を作るこのジェスチャーは、昨年11月にエチオピア中西部のオロミア(Oromia)で始まった反政府デモを弾圧した同国政府への抵抗を示すシンボルとなっている。人権団体によれば、エチオピアの治安部隊はデモの参加者を400人以上殺害したとされている。

 IPCは声明を発表し、大会で政治的メッセージを発信した22歳のデミッセを厳しく批判。フィリップ・クレーブン(Philip Craven)会長は「五輪と同じように、パラリンピックでも政治的なメッセージは規則で禁止されていると注意を受けていたはずだ。二度とこのような行為をしてはならない」と警告した。

 フィニッシュラインとメダル授与式で抗議のジェスチャーを示したリレサは、帰国すれば命の危険にさらされると主張しており、エチオピア当局からは処罰されないと明言されていたものの、代表チームの帰国便には同乗しなかった。

 米国への政治亡命を模索していると報じられているデミッセについて、同選手の代理人はAFPの取材に対し、「(エチオピアに戻る道を)彼が選択するとは思えない」とコメントしている。

 アフリカで最も弾圧的な国として知られるエチオピアでは、オロミアから北部のアムハラ(Amhara)まで拡大している反政府デモによる混乱が続いている。(c)AFP