【9月9日 AFP】中国を代表する航空会社、中国国際航空(Air China)の機内誌が英ロンドン(London)を訪れる観光客向けに「人種差別的な」アドバイスを掲載したとして英国の国会議員が激しく非難したことを受けて、機内誌を制作した出版社が8日、謝罪した。その一方、中国のソーシャルメディア上では、こうしたアドバイスを擁護する声も上がっている。

 中国国際航空の機内誌「中国之翼」の最新号には、ロンドン住民の人種や国籍に基づいた旅行者向けの安全上のアドバイスを掲載した。

 米テレビ局CNBCが伝えた同誌の画像には、「ロンドンは旅行先としておおむね安全な場所だが、インド人やパキスタン人、黒人が主に暮らす地区では警戒が必要だ」と書かれている。それに続けて、「夜間は1人で外出せず、女性は旅行中は常に誰かと共に行動したほうがよい」と忠告していた。

 同出版社は8日、中国語の声明を発表し、この「不適切な記述」は編集上のミスによるもので、「ロンドンの美しい景観を積極的に紹介する本来の意図」にそぐわないとの見解を示した。

■中国ネットの反応は

 しかし中国のソーシャルメディア上では、大半のユーザーらが今回反発を受けたことに当惑を隠せないでいる。中国版ツイッター(Twitter)の「新浪微博(Sina Weibo)」のあるユーザーは「本当のことを書いているだけ。何について謝罪する必要があるの?」と投稿した。このような見方が一般的だ。

 機内誌に掲載されたアドバイスには価値があると感じている人も多い。別のユーザーは、「みんなを満足させることはできない。でも、中国人の安全を第一に考えなければならないことは確かだ」と書き込んだ。

 中国は、人種差別についての議論が少なく、国民の意識も低いことで知られる。このため「万里のファイアウオール(Great Firewall of China)」と呼ばれる同国の閲覧規制の外側では世界的な怒りを呼ぶ大問題も、中国国内では全く懸念を引き起こさないことも多い。

 中国は、自分たちを外国メディアによる人種差別の被害者と見ることが多く、新浪微博の多数のユーザーは欧米諸国から偽善的な非難を受けたとして憤りを示した。

 あるユーザーは、「われわれは黒人やインド人、パキスタン人に何の負い目もない。奴隷売買をしたこともないし、インドやパキスタンを植民地にしたこともない」と書き、「政治的に正しいやつらはみんな死ね」と付け足した。(c)AFP/Becky Davis