【8月29日 AFP】内戦が続くシリアに対する越境作戦を展開しているトルコ軍は28日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」とクルド人武装組織への攻撃を強化し、爆撃によって数十人が死亡したもようだ。トルコ政府はクルド人の「テロリスト」25人を殺害したとしているが、人権団体は民間人40人が死亡したと報告している。

 トルコ国営アナトリア(Anadolu)通信が伝えたトルコ側の発表では、この日の攻撃で死亡した「テロリスト」25人は、シリアのクルド人組織「民主統一党(PYD)」傘下の民兵部隊「クルド人民防衛部隊(YPG)」とトルコの非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の構成員。トルコ政府はシリアでの軍事作戦に関して、トルコ軍は民間人の犠牲者が出ないようあらゆる方策を取っていると主張している。

 だが在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、シリア北部の親クルド人勢力が掌握する2地区に対してトルコ側がこの日行った砲撃や空爆で、少なくとも民間人40人が死亡、75人が負傷したと発表した。今回の作戦で多数の民間人犠牲者が出たという報告は初めてだ。監視団によると、両地区でこのほかにクルド人の戦闘員少なくとも4人が死亡、15人が負傷した。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は28日、南東部ガジアンテプ(Gaziantep)で開かれた集会で演説し、「シリアからのダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)を一掃するためにあらゆる手を尽くす」と表明。同時にPYDをテロ組織と名指しした上で、PYDに対しても「同じ決意だ」と強調した。(c)AFP/Stuart WILLIAMS with Layal Abou RAHAL in Beirut