【8月25日 AFP】イタリア中部で24日に起きた大地震で被災した山村の一つイッリカ(Illica)で、グイド・ボルド(Guido Bordo)さん(69)はベンチに腰掛け、両手を握ったり開いたりする動作を繰り返していた。ボルドさんの測り知れない苦悩の大きさを物語るしぐさだ。

「姉夫婦が、がれきの下敷きになっている。救援隊を待っているんだが、ここまでたどり着けないんだ」とボルドさんはAFPに語った。

 地震が発生してすぐ、ボルドさんは休暇でローマ(Rome)から訪れていた姉夫婦が宿泊していた別荘に駆けつけた。別荘は人里離れた場所にある。何とか子どもたちだけは助け出され、病院に搬送された。しかし、あとは「なんの音もしない。聞こえるのは2人が飼っていたネコの鳴き声だけだ」。その後、姉夫婦の死亡が確認された。

 今回の地震はイタリアで起きたものとしては2009年に約300人が犠牲になったラクイラ(L'Aquila)の地震以降で最大規模。甚大な被害があった地域はラクイラの北方だ。

 被災したアマトリーチェ(Amatrice)の町中心部はまるで爆撃跡のようだ。被災状況を視察したセルジオ・ピロッジ(Sergio Pirozzi)町長は「町の半分が消滅してしまった」と語った。

 夜間は冷え込むが、余震を恐れて自宅に戻れない数百人の住民たちが夜を過ごせるよう、仮設のテントが急設された。

 イタリアは地震に対して脆弱な国だ。2009年に起きたラクイラの地震ではその後も長らく、建物管理のずさんさや、地震の切迫性を住民に通知しなかった当局の過失などが非難されている。(c)AFP/Ella IDE