【8月17日 AFP】リオデジャネイロ五輪は16日、サッカー女子準決勝が行われ、ブラジルは0-0で迎えたPK戦の末スウェーデンに3-4で敗れ、母国を同種目初の金メダルに導くというマルタ(Marta)の夢はついえた。

 世界年間最優秀女子選手「女子FIFAバロンドール(FIFA Ballon d'Or)」に5度輝いているマルタは、番狂わせが起きた試合後、マラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)の7万人の観客が呆然とする中、涙を流してピッチを後にしている。

 1次リーグでは5-1でスウェーデンに快勝したブラジルだったが、1次リーグの最終戦を含め3戦連続でスコアレスドローに終わった。準々決勝でもブラジルは、PK戦でオーストラリアに勝利していた。

 オーストラリア戦では外したPKを準決勝では決めたマルタだったが、輝かしいキャリアを五輪制覇で締めくくるという望みは絶たれた。

 試合後にブラジルのバドン(Vadao)監督は、「この鬱屈(うっくつ)した感情をどうやって表現したらいいか分からない」とコメントしている。

 ここ4年間はスウェーデンでプレーしているマルタは、試合後に同国の選手から慰められ、マラカナン・スタジアムの観客は敗れたチームに大きな声援を送った。

 延長戦を含め両チーム無得点に終わって迎えたPK戦でブラジルは、五輪歴代最多得点の記録を持つクリスチアーネ(Cristiane Rozeira de Souza Silva)とアンドレッサ・アウベス(Andressa Alves)のシュートがスウェーデンのGKヘードビグ・リンダール(Hedvig Lindahl)にセーブされた。

 スウェーデンの守護神リンダールは、五輪3連覇中だった米国をPK戦の末下した準々決勝でも勝利の立役者となっている。

 リサ・ダールクヴィスト(Lisa Dahlkvist)がPKを成功させ勝利を決めたスウェーデンは、決勝進出とともにこの種目で同国史上初のメダル獲得を確定させた。

 ブラジルの女子代表がマラカナン・スタジアムでプレーしたのは今回が2試合目だったが、マルタはサッカー王国のブラジルで女子サッカーの熱が失意のまま冷めてしまわないことを望んでいる。

 地元テレビ局に対しマルタは、「誰も私たちがしてきたことの輝きを奪うことはできません」とコメントしている。

 また、バドン監督は、「女子サッカーにとって輝かしい瞬間です。誰もがここ(マラカナン・スタジアム)でプレーすることを夢見ているんです」と話している。

「伝統であり、ブラジルの文化であり、象徴なのです。マラカナンはブラジルを意味し、ブラジルはサッカーを意味します。この素晴らしいときにチームを決勝に導くことができず申し訳なく思っています」

 一方、米国を率いて2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪を制しているスウェーデンのピア・サンドヘージ(Pia Sundhage)監督は、指揮官として3大会連続の金メダル獲得への挑戦権を手にしている。

「とても感情的になっています。私は中国とロンドン(London)の五輪で決勝の舞台に立ちましたが、そうなるのが当たり前というチームを率いてでした。われわれがたどってきた道は、今までと異なったものです。番狂わせを一度、二度起こしてここまでやって来たんです」

 準決勝のもう1試合では、ドイツが今大会得点ランクでトップに立つメラニー・ベーリンガー(Melanie Behringer)とサラ・ダブリッツ(Sara Daebritz)の得点によりカナダに2-0で勝利し、1次リーグで敗れた借りを返した。カナダはロンドン五輪で獲得した銅メダルの防衛を懸け、19日にサンパウロ(Sao Paolo)でブラジルとの3位決定戦に臨む。(c)AFP/Kieran CANNING