【8月16日 AFP】フランス・コルシカ(Corsica)島の村、シスコ(Sisco)の村長は15日、イスラム教徒の女性が着用する全身を覆う水着「ブルキニ」の禁止を発表した。13日にブルキニがきっかけで衝突が発生したことを受けた措置で、同国でブルキニ着用が禁止されたのはこれで3例目となった。

 地中海(Mediterranean Sea)に浮かぶコルシカ島北部にあるシスコの入り江で13日、観光客らがブルキニを着用して泳ぐ女性たちの写真を撮っていたとして、地元住民らと北アフリカ系の家族らとの間で衝突が発生。双方は石や瓶を投げ合い、車3台が放火された。中には手おので武装していた者もいたとされ、5人が負傷し、病院に搬送された。警察官約100人が出動して、事態収拾に当たった。

 これを受けてシスコのアンジュピエール・ビボニ(Ange-Pierre Vivoni)村長は、「住民を守る」ためとしてブルキニ禁止を発表。

 ビボニ村長の話では、最近同島北部で宗教をめぐる緊張が高まっていたという。AFPの電話取材に応じたビボニ氏は、ブルキニ禁止措置は「イスラム教に反対するものではなく、原理主義の拡大を回避するためだ」と説明。「私は断じて差別主義者ではない。住民を、特にわが村のイスラム教徒の住民を守りたいと考えている。こういった過激主義の挑発行為の主たる犠牲者になっているのはイスラム教徒だからだ」としている。

 イスラム過激派による攻撃が相次いでいるフランスでは現在、イスラム教徒のコミュニティーとの関係性が非常にデリケートな問題として受け止められている。

 シスコに先立ち、南仏コートダジュール(French Riviera、フレンチリビエラ)のカンヌ(Cannes)とビルヌーブルベ(Villeneuve-Loubet)でも最近ビーチにおけるブルキニ着用が禁止され、論争が巻き起こっていた。

 フランスでは以前から、イスラム教徒の着衣が物議を醸してきている。2010年、イスラム教徒の女性が顔を全て覆うベール「ブルカ」を公共の場で着用することを欧州諸国で初めて禁じたのも同国だった。

 ブルキニ反対派は、ブルキニが世俗主義の理念を踏みにじるものだと主張。これに対し反差別を掲げる活動家らは、ブルキニ禁止はイスラム教徒に対する差別に他ならないと指摘している。(c)AFP/Henri Mariani and Clare Byrne in Paris