【8月15日 AFP】(更新)リオデジャネイロ五輪の出場可否をめぐって、その立場が何度も入れ替わっていた陸上女子走り幅跳びのダリア・クリシナ(Darya Klishina、ロシア)が15日、異議申し立ての結果、改めて五輪出場を認められることになった。

 国家ぐるみのドーピングが指摘されたロシアで、国際陸上競技連盟(IAAF)からリオ五輪の出場を唯一認められていたクリシナだったが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は13日、同選手の薬物違反に関する新たな情報が見つかったとして、一転して同選手の五輪出場を認めない裁定を下していた。

 しかし、クリシナの異議申し立てを受けて行われた審理の結果、CASが15日の未明に「リオ五輪の出場資格を維持する」と前回の裁定を覆す判断を発表した。クリシナが出場予定の女子走り幅跳びは16日に開催されるため、本人にとってはぎりぎりのタイミングでの裁定となった。

 クリシナは当初、拠点を米国に置いていること、2014年から定期的にロシア国外で薬物検査を受けていることを理由に、ほかに67人のロシア陸上選手がリオ五輪から除外されるなかで、ただ一人出場を認められていた。

 しかしカナダの法学者リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏から「新たな事実関係」が示されたことを受けて、IAAFが先日、同選手の出場資格を取り消していた。

 メディアの報道によれば、クリシナの尿サンプルの2件に開封の痕跡が認められ、さらにそのうち1件には2種類のDNAが混在していたという。今回の審理でも、IAAF側は「クリシナのサンプルの開封と操作が行われていたことは確実」だと主張していた。

 しかしCASは、マクラーレン氏からの新情報を踏まえたうえで、クリシナは「ロシア国外に永住しており、リオ五輪出場に必要な基準を満たしている」と判断。また2014年以降、クリシナに「競技会、抜き打ちを合わせたロシア国外での薬物検査をすべてクリアしてきた実績がある」ことを根拠に、同選手の異議を認めた。(c)AFP