【8月17日 AFP】(更新)リオデジャネイロ五輪は16日、陸上女子走り幅跳びの予選が行われ、ロシアのダリア・クリシナ(Darya Klishina)が決勝進出を果たした。

 ロシアの国家ぐるみのドーピングが指摘されるなか、同国の陸上選手で唯一出場を認められたクリシナは、1回目のジャンプで6メートル64を記録。残り2回の試技は記録なしに終わったものの、問題なく突破を決めた。

 女子走り幅跳び決勝は17日に行われ、予選を通過した12人の選手で争われる。

 クリシナは予選後、「気持ちの面で、先週は本当に厳しい、つらい1週間でした。裁定を待つばかりで練習はできず、やったのはウオーミングアップだけです。でも今は自分のジャンプに集中して、前向きになりたいと思っています」と話した。

 クリシナについては、拠点を米国に置き、ロシアの腐敗した反ドーピングシステムの外で定期的に薬物検査を受けていることを根拠にリオ五輪出場が認められていたが、その後いったん出場資格が取り消され、直前で再びスポーツ仲裁裁判所(CAS)から出場を認められた経緯がある。

 コーチを務めるローレン・シーグレイブ(Loren Seagrave)氏は、CASの裁定について知らせた瞬間、クリシナの体に再び力がみなぎってくるのを感じたという。

「知らせを受け取ったのは朝の4時半だった。急いで彼女の部屋へ行ってドアをたたき、こう言ったよ。『こんな時間に起こして悪いが、われわれが勝ったぞ』とね。彼女の体に活力が戻って、戦闘モードに入るのがわかった」

 クリシナは、今回の状況を「普通ではないこと」と呼び、たった一人で出場するつらさを明かした。

「ほかにロシアの選手がいないのは、すごくこたえます。普段、私たちは大所帯で、サポートも充実していますから。普通の状況ではありません。いつも通りロシアチームのみんながそばにいてくれたらよかったのですが、残念ながら今の私は一人で、大きな責任を負っています。チームのみんなと一緒に出たかったです」

 それでもクリシナは、「五輪に来られたのは幸せです。私にとっては初めての五輪で、本当に素晴らしい経験です」と話した。

 また、ほかの幅跳び選手の反応はとても好意的だったという。

「みんな好意的ですし、すごく助けてもらっています。『出るの?出られるの?』と聞いてくれて、裁定結果がわかったので出ると話したら、喜んでくれました」

(c)AFP