【8月12日 AFP】米カンザス(Kansas)州の農場に住む夫婦が、自宅を多数の犯罪の場と関連付けられて迷惑を被ったとして、インターネット企業を相手取り7万5000ドル(約770万円)以上の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 米国の地理的中心とされる地点に近い田園地帯にある農場に住むジェームズ・アーノルド(James Arnold)さんと妻のテリーザ(Theresa Arnold)さんは、5年前に引っ越してきた直後から、インターネット詐欺やハッキングなどの不正行為の疑いがあるとして、警察や捜査官らの訪問を受けるようになった。

 今年になるまで夫婦は訳がわからずにいたが、ニュースサイトFusionが、IP情報を収集し、パソコンや携帯端末の位置を特定するサービスを提供している企業MaxMindに関する記事を報道したことから、原因が判明した。

 MaxMindのサービスは正確な位置が特定できなかった場合、デフォルト設定として米国の中心地を割り当てる設定になっているという。アーノルド夫婦は知らなかったが、米国の地理的中心に近い夫婦の自宅がデフォルトの位置に設定されていたのだ。MaxMind側は認めていないが、Fusionによるとおよそ6億件のIPアドレスがこのデフォルトの位置に設定されていたという。

 訴状によると、夫婦宅には犯罪関係のみならず家出人や行方不明者の捜索、自殺未遂通報などで捜査関係者らがひっきりなしにやってきて、夫婦は「甚大な精神的苦痛と安全への懸念、さらに屈辱を味あわされた」と訴えている。(c)AFP