【8月8日 AFP】(更新)天皇陛下は8日公開された国民に向けたビデオメッセージで、「次第に進む身体の衰えを考慮する時、象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じている」と語られた。国内メディアは、生前退位の意向をにじませる内容と報じている。

 82歳の天皇陛下は「体力の面などから様々な制約を覚えることもある」と述べられた。「退位」という言葉には触れなかったが、政府は今回の談話について、生前退位の意向を示したものと解釈するとみられる。政府内では、生前退位を可能にするため現行の法制下では存在しない法的な仕組みを設ける案が浮上している。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は直ちに、天皇陛下の発言を「重く受け止める」とのコメントを出し、陛下の年齢や公務の負担を考え「どのようなことができるか、しっかり考えなければいけない」と述べた。

 これまで天皇陛下が国民に直接語り掛けたのは、2011年東日本大震災の数日後に発表されたお言葉と、今回の2度のみ。

 天皇陛下は、第2次世界大戦(World War II)後に天皇に課された象徴としての役目を熱心に務めてこられた。父の昭和天皇の名の下に行われた戦争の遺産をめぐり、国内外で和解を探ってきたとして評価されている。国内では沖縄、国外ではサイパン、パラオ、フィリピンなど大戦中の激戦地を訪れ、日本人だけでなく全ての犠牲者に祈りをささげてこられた。

 天皇陛下の生前退位に向けた動きは、世論でも広く支持されているもようだ。共同通信(Kyodo News)が先週行った調査では、回答者の85.7%が天皇の生前退位を可能にする法改定に賛成している。(c)AFP