【8月3日 AFP】米共和党の大統領候補ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏は2日、11月の大統領選と同時に実施される連邦議会選をめぐり、再選を目指すポール・ライアン（Paul Ryan）下院議長らを現時点では支持できないと述べた。ライアン氏は党内で最高位の公職に就いている有力者だけに、発言は波紋を広げている。

　ライアン氏は本選に先立ち8月9日に中西部ウィスコンシン（Wisconsin）州で行われる予備選で、保守派の造反者の挑戦を受ける。トランプ氏は米紙ワシントン・ポスト（Washington Post）のインタビューで、ライアン氏について「ポールのことは好きだが、この国にとってはひどいものだ」と一刀両断。「私たちは非常に強力なリーダーシップを必要としている」とした上で、現時点では再選支持の準備ができていないと語った。

　トランプ氏がライアン氏の支持を拒否したのは、3か月前に同氏がよく似た言い回しで「トランプ氏を支持する準備がまだできていない」と答えたことへのあからさまな意趣返しとみられている。ライアン氏の発言は物議を醸し、トランプ氏を一丸となって支持するかどうかをめぐって保守派の間では数週間にわたって論争が続いた。

　さらにトランプ氏は、西部アリゾナ（Arizona）州で改選を控える党重鎮のジョン・マケイン（John McCain）上院議員についても、支持する準備はまだ整っていないと述べた。

　トランプ氏をめぐっては、米兵の息子を戦闘で亡くしたイスラム教徒の米国人の両親に対して行った批判的な発言でも議論が沸騰。党の結束を演出しようとしたオハイオ（Ohio）州クリーブランド（Cleveland）での全国大会からわずか2週間で、党内の亀裂が一段と広がる恐れが出ている。(c)AFP